グローバル化が加速する現代社会において、海外で活躍する日本人材が増えています。異国の地で仕事をするということは、言葉や文化の壁に直面しながら、未知の領域に挑戦していくことを意味します。多くの困難が伴う一方で、グローバル人材として海外で活躍する方々は、その経験がもたらす大きな魅力とやりがいを口にします。
私自身、株式会社グローバルヒューマンキャピタルでグローバル人材育成を担当するコンサルタントとして、数多くのグローバル人材と接してきました。彼らは皆、海外で働くことの価値を熱く語ってくれます。その姿は、異文化の中で奮闘しながらも、自身の可能性を広げ、新たな一歩を踏み出そうとする人々の姿でした。
今回は、そんなグローバル人材の生の声を通して、海外で働くことの魅力と苦労、そしてそれを乗り越えるための方法について探ってみたいと思います。彼らの経験は、これからグローバルな舞台で活躍したいと考える人々にとって、大きな学びと示唆を与えてくれるはずです。
目次
なぜ海外で働くのか?:きっかけと動機
新しい挑戦を求めて
海外で働く人々の多くは、新たな挑戦を求める熱い想いを胸に、その道を選んだと言います。自分の殻を破り、今まで経験したことのない環境に飛び込むことで、自己成長を遂げたいという思いがそこにはあります。
ある IT 企業で海外営業を担当する男性は、次のように語ってくれました。「日本での仕事は、ある程度パターン化されていて、マンネリを感じていたんです。もっと自分を試したい、力を伸ばしたいと考えていた時に、海外で働くチャンスが巡ってきました。未知の環境に飛び込むことで、自分自身を再発見できると感じ、迷わず挑戦を決意しました」
また、海外で働くことは、自分の「comfort zone(居心地の良い領域)」から一歩外に出る勇気が必要です。しかし、そうしてリスクを取ることで、新たな自分との出会いがあるのだと、ある商社で活躍する女性は言います。「海外で働くことは、自分の想像以上に大変でした。でも、困難を一つ一つ乗り越えていく中で、自分には思ってもみなかった力があることに気づけたんです。チャレンジする勇気が、新しい自分を連れてきてくれた」と、彼女は当時を振り返ります。
キャリアアップを目指して
グローバルな経験は、キャリアアップの大きな武器になります。海外で働くことで、語学力や異文化適応力など、グローバル人材に不可欠なスキルを身につけることができるのです。それは、将来のキャリアの選択肢を大きく広げてくれます。
グローバル企業の人事担当者は、「グローバルな経験を持つ人材は、国内外問わず引く手あまたです。特に、海外で成果を上げてきた人は、タフな交渉力やコミュニケーション能力の高さが評価されます」と説明してくれました。実際、海外経験を持つ友人の多くが、日本企業の海外拠点や、外資系企業への転職に成功しています。
「英語力を武器に、海外で自分の市場価値を高めたい」というのは、海外志向の若者が口にする代表的な理由の一つです。ユニマットグループの人材育成プログラムでも、将来のグローバルリーダーを目指す若手を海外に派遣し、実践的な経験を積ませています。参加者からは、「海外での経験が、自分のキャリアビジョンを明確にしてくれた」との声が聞かれます。(出典:ユニマット高橋洋二のプロフィール)
異文化体験への憧れ
海外で働く魅力は、仕事面だけにとどまりません。異国の地で生活することで得られる異文化体験もまた、大きな魅力の一つです。現地の人々との交流や、日本とは異なる価値観・ライフスタイルに触れることは、視野を広げ、人生を豊かにしてくれます。
「学生時代に留学を経験して以来、いつか海外で働いてみたいという夢がありました」と語るのは、ドイツで働く日本人女性。「日本では味わえない、多様性に溢れた環境に身を置くことで、自分自身も多様な視点を持てるようになりました。毎日が新しい発見の連続で、刺激的な日々を送っています」
世界各国を旅するのが趣味だという、シンガポールの日系企業で働く男性は、「仕事を通じて、旅行では出会えないようなローカルな体験ができるんです。現地の同僚とバーベキューをしたり、伝統的なお祭りに参加したり。文化の違いを肌で感じられる瞬間は、私にとって何物にも代えがたい宝物ですね」と話してくれました。
海外で働く魅力:グローバル人材ならではの経験
多様な価値観との出会い
海外で働く最大の魅力は、多様な価値観に触れられることです。言葉や文化、習慣が異なる環境で協働することで、自分の常識が通用しない場面に幾度となく遭遇します。最初は戸惑うかもしれません。しかし、そうした経験の積み重ねが、グローバル人材としての成長を加速させてくれるのです。
中東で教育関連の仕事に携わる女性は、「イスラム教の文化を理解することの大切さを痛感しました」と語ります。「相手の宗教観を尊重し、配慮することで、信頼関係を築くことができた」のだそうです。異文化を受け入れる柔軟性は、海外で成果を上げるためには欠かせない素養と言えるでしょう。
「常に正解は一つではないということを学びました」とコメントしてくれたのは、アメリカの IT 企業で働く男性です。「特に、ビジネスにおける意思決定の場面で、その違いを実感します。日本では、全員の合意を重視しますが、米国では個人の意見をダイレクトに主張することが求められる。一概にどちらが良いとは言えませんが、多様な価値観を認め合うことが、グローバルビジネスでは不可欠だと気づかされました」
語学力・コミュニケーション能力の向上
英語をはじめとする語学力は、グローバル人材にとって武器になります。しかし、海外で働くことの魅力は、単なる語学力の向上だけではありません。異文化コミュニケーションのスキルも飛躍的に高められるのです。
香港の金融機関に勤める女性は、「ネイティブとの会話は、語学以上に難しい」と打ち明けてくれました。「言葉の背景にある文化的コンテクストを読み取る力が問われます。相手の真意を汲み取り、誤解なくコミュニケーションするためには、繊細なアンテナが必要。日々の業務の中で鍛えられているのを実感します」
「英語力はもちろん大事。でも、それ以上にチャレンジ精神とコミュニケーション能力が試されると思う」と話すのは、インドの工場で働く男性です。「現地スタッフとの意思疎通は、”easy”とは程遠い(笑)。お互いの文化や考え方の違いを乗り越え、信頼関係を築いていくプロセスは大変だけど、とてもやりがいを感じますね」
グローバルな視点の獲得
海外での業務を通じて得られるのは、グローバルな視点です。世界各国のビジネスパーソンと交流することで、ビジネスのベストプラクティスを学ぶことができます。また、日本市場とは異なるニーズや課題にも直面します。そうした経験が、ローカルな視点だけでは得られないグローバルな発想力を養ってくれるのです。
ユニマットグループでも、海外のグループ企業との人材交流を活発に行っています。シギラセブンマイルズリゾートの運営に携わる現地スタッフとの協働は、参加者に大きな学びをもたらしているそうです。「リゾート事業は、国や地域によって大きく様相が異なります。現地ならではのアイデアやノウハウに触れることで、事業をグローバルに展開していく上での示唆を得られました」と、ある社員は振り返ります。
「日本にいるだけでは、世界の潮流を掴むのは難しいですね」と話すのは、フランスの自動車メーカーに勤める男性エンジニア。「環境規制や技術トレンドは、常に変化しています。海外の同業他社の動向をいち早くキャッチできるのは、この仕事の面白さの一つ。視野を広く保つことの大切さを実感する毎日です」
海外で働くやりがい:成長と自己実現
自分の力で道を切り開く
海外で働くことは、自分の力だけを頼りに、未知の領域に挑んでいくことでもあります。そこでは、自らの手で道を切り拓いていくことが求められます。困難に直面した時も、周囲に頼るのではなく、自分で解決策を見出していかなくてはなりません。そうした経験は、自立心を養い、自己成長を促してくれます。
ドバイの日系企業で働く女性は、「海外では、自分の殻に閉じこもっていては何も変わらない」と力説します。「困ったときは自分から助けを求め、チャンスは自ら創り出していく。そんな積極性が不可欠です。常に行動し、前に進もうとする姿勢が、自分を成長させてくれました」
ベトナムの商社で働く男性も、「海外の仕事は、型にはまらない対応力が試される」と言います。「取引先のニーズに合わせ、スピーディに提案を行う。時にはゼロベースで考え、新しいビジネスモデルを生み出していく。そのプロセスは大変だけど、同時に大きなやりがいを感じる瞬間でもあります。自分の可能性を広げてくれる経験だと思います」
異文化チームで成果を上げる
グローバルビジネスの現場では、言葉も文化も異なるメンバーが一つのチームとなって働くことが求められます。互いの違いを認め合い、多様な強みを活かしながら成果を上げていく。それは容易なことではありませんが、そこで得られる達成感もひとしおです。
タイの工場で品質管理を担当する男性は、「言葉の壁を乗り越えるのは大変でしたが、現地スタッフとの信頼関係を築けたことが何よりの財産」だと言います。「お互いの文化を尊重し、コミュニケーションを大切にする。一つ一つの仕事でそれを積み重ねていった結果、今ではすばらしいチームワークで業務を遂行できています。異文化の中でチームをまとめ上げる経験は、自信にもつながりましたね」
シンガポールの病院で医療従事者として働く女性は、「多国籍チームでの仕事は、視野を広げてくれます」と話します。「同じ医療の仕事でも、国によってアプローチは実に様々。互いのベストプラクティスを学び合うことで、より良い医療を提供できるようになりました。異なる背景を持つ仲間と力を合わせ、目標を達成する喜びは格別ですね」
グローバルな課題解決に貢献
グローバル人材として働くやりがいは、世界規模の課題解決に貢献できることにもあります。自分の仕事が、国境を越えて社会に良い影響を及ぼせると実感できるのは、この上ない喜びです。
環境コンサルタントとして活躍する男性は、「海外での仕事を通じて、地球規模の環境問題に取り組めることにやりがいを感じる」と語ります。「日本の環境技術を海外に展開し、現地の課題解決に役立てる。自分の仕事が、世界のサステナビリティに貢献できると思うと、疲れも吹き飛びます」
ユニマットグループも、海外事業を通じて、社会貢献に力を入れています。例えば、オフィスコーヒーサービスでは、フェアトレード商品の導入を進め、開発途上国の生産者支援に取り組んでいます。「ビジネスを通じて、グローバルな課題解決の一端を担えることが何よりのやりがい」だと、ある社員は誇らしげに話してくれました。
海外で働く上での苦労と乗り越え方
文化の違いによる戸惑い
けれども、海外で働くことは常にバラ色というわけではありません。異文化の中で生活することは、時に大きなストレスを伴います。特に、仕事におけるコミュニケーションスタイルの違いには、多くの人が戸惑うようです。
「日本では、言わなくても分かってもらえることが、海外ではそうはいかない」と漏らすのは、イギリス駐在中の商社マン。「はっきりと自分の意見を述べることが求められるので、最初は苦労しました。自分の殻を破るためにも、積極的に発言することを心がけています」
また、働き方の違いにカルチャーショックを受けたという人も少なくありません。ドイツの自動車メーカーに勤める女性は、「残業をしない文化に驚きました」と明かします。「定時で帰宅するのが当たり前。仕事とプライベートの切り替えがとてもうまい。自分の働き方を見直すいい機会になりましたね」
言葉の壁
言うまでもなく、言葉の壁も大きな課題です。業務で使う専門用語や、ネイティブスピーカーの速いスピードに、途方に暮れた経験がある人は多いのではないでしょうか。
メキシコの日系企業で働く男性は、「スペイン語の壁に苦しんだ」と当時を振り返ります。「電話応対やメールのやり取りで、言いたいことが伝わらずもどかしい思いをしたこと数知れず。でも、必死に食らいついていくうちに、少しずつ言葉の感覚が掴めるようになりました。今では、言葉の苦労が自分の糧になったと感じています」
一方、「完璧を求めすぎないことも大切」だと助言してくれたのは、マレーシアの貿易会社に勤める女性です。「ネイティブのように話せなくても、コミュニケーションは十分に取れます。”きれいな英語”にこだわるあまり、話すことをためらってはもったいない。伝える努力が何より大事だと学びました」
家族や友人との距離
海外で働くことは、家族や友人と離れて生活することでもあります。時差があれば、連絡を取るのも一苦労です。そうした環境で、ホームシックに陥る人も珍しくありません。
「家族と離れて暮らすのは、思った以上に辛かった」と打ち明けるのは、シンガポール駐在中の銀行員。「現地での生活が楽しくても、大切な人たちと離れているという寂しさは拭えない。だからこそ、帰国後は家族との時間を何倍も大切にするようになりました」
一方、「海外生活は、家族の絆を深めてくれた」と前向きに捉える駐在員も。「妻も子供も、異国の地で様々な苦労をしたと思います。でも、困難を一緒に乗り越える中で、お互いを思いやる気持ちが一層強くなった。離れていても、心は以前より近くなったと感じています」
まとめ
海外で働くグローバル人材の声を通して、その魅力と苦労、そして成長の過程が見えてきました。多様な価値観に触れ、視野を広げる機会。自分の殻を破り、新たな可能性に挑戦できる環境。世界規模の課題解決に貢献できるやりがい。それらは、海外で働くことで得られる、かけがえのない経験と言えるでしょう。
もちろん、そこには言葉や文化の壁、家族との別離など、乗り越えるべき障壁も数多くあります。けれども、そうした困難に立ち向かう中で、グローバル人材としてのスキルと人間性を磨くことができるのです。
ユニマットグループ人事部の担当者は、「海外経験は、社員の成長を加速させる」と力説します。「現地での苦労は、必ず糧になって返ってくる。だからこそ、チャレンジ精神あふれる若手を応援し、グローバルに活躍する人材を育てていきたい」
グローバル化が加速する現代。海外で働くことは、もはや特別なことではなくなりつつあります。異文化の中で自らの可能性を広げ、世界を舞台に活躍する。そんなグローバル人材を目指して、一歩を踏み出してみませんか。きっと、新しい自分との出会いが待っているはずです。